文系DXスタジオ AMUのDXスタートアッププランは「業者に丸投げして、結局誰も使わなくなるシステム」を作るものではありません。 優秀なAI(Gemini)や使い慣れたWord、スマホで動くLINEを使い、 「自社で情報発信をコントロールする力」を身につけていただく伴走型インハウス支援モデルです。
「大輔さん、これ、うちの会社が来月発表する新しいサービスのプレスリリースなんです。まだ世に出る前の原稿なんですけど……よかったら読んでみてください」
平日の21時。居酒屋『たけなわ』のカウンターで、常連のIT企業に勤める企画パーソン・佐藤さんが、1枚のプリントアウトを差し出した。そこには、生成AIを活用したローカルビジネス向けの新しいデータ分析ツールの概要がびっしりと書かれていた。
普通の居酒屋であれば、店主は「へえ、すごいね。頑張って!」と声をかけて焼き鳥を焼くだけだろう。しかし、大輔の対応は違った。大輔はその紙を真剣な目で見つめ、こう言ったのだ。
「佐藤さん、これ、めちゃくちゃ面白い。先週『プロジェクトちょっとだけ達成プラン』で飲みに来てくれた、あの地元の老舗印刷会社の社長さんに絶対刺さる内容だよ。彼、ちょうど顧客データの活用で悩んでたんだ。……よし、このプレスリリース、うちのWebマガジンで『公開前夜のインサイドストーリー』として紹介させてくれないか?」
メディア方針の転換:「BtoBの出会いをデザインする」
『たけなわ』が運営するWebマガジン( writing-printing.shop )は、この日を境に、単なる「居酒屋の舞台裏日記」から、「ビジネス街のプレスリリースと知恵が回遊するBtoBプラットフォーム」へと進化した。
大輔が掲げた新しい運営方針は明確だった。それは、「このお店のコミュニティに関わることで、顧客同士のビジネスが新しく生まれ、地域経済が回ること」をゴールに据えることだ。
仕組みはこうだ。
プレスリリースの収集: 常連のビジネスパーソンや会員企業から、新規事業、新商品、イベントなどの「プレスリリース」や「挑戦の記録」を募集する。
ストーリー化して掲載: 単なる文章の転載ではなく、店主・大輔の目線から「なぜこのプロジェクトが面白いのか」「どんな課題を解決するのか」の文脈を添えてWebマガジンに紹介する。
リアル店舗でのマッチング: マガジンを読んだ別の会員企業が「この記事の会社と話してみたい」となったら、『たけなわ』のテーブルでマッチングの場(リアルな接点)を提供する。
「ただのファンクラブなら他でもできる。でも、ここに集まる15%の『価値・情報優先層』が求めているのは、自分のビジネスを前へ進めるための『繋がり』なんだ」
居酒屋のコミュニティマガジンが起こした化学反応
この方針が見事にハマった。 佐藤さんのプレスリリースを掲載したWebマガジンがLINE経由で配信されると、狙い通り、印刷会社の社長からすぐに連絡が入った。
「大輔くん、あのマガジンに出ていた佐藤さんのツール、うちの印刷通販のデータ分析にそのまま使えるかもしれない。今度彼が店に来る日、僕も予約を入れるから、紹介してくれないか?」
その週の金曜日。『たけなわ』の奥のテーブルでは、佐藤さんのプロジェクトチームと印刷会社の社長が、特製ブレインフードを突きながら熱い議論を交わしていた。 「うちのシステムなら、御社の過去10年分の顧客動向をAIで即座に可視化できます」 「素晴らしい! まさにそんなソリューションを探していたんだ。来週、正式にうちの役員会でプレゼンしてくれないか?」
居酒屋のテーブルの上で、1つのBtoBビジネスが完全に成立した瞬間だった。 そこに仲介手数料や派手なマッチング費用は存在しない。あったのは、美味しいお酒と料理、そして大輔がWebマガジンを通じて耕し続けた「お互いへの信頼」だけだ。
店が「地域の小さな経済圏(ハブ)」になるビジョン
「あそこの居酒屋のWebマガジンに載ると、エリア内の感度の高いビジネスパーソンに届き、新しい仕事が生まれる」 この噂はビジネス街を駆け巡り、お店のLINE公式アカウントの価値は暴騰した。
普通の飲食店なら、LINEは「安く食べるためのツール」だ。しかし『たけなわ』のLINEは、ビジネスパーソンにとって「地元のリアルなビジネストレンドを掴み、新しいパートナーと出会うための経済インフラ」になっていた。
企業側からすれば、ここに通い、マガジンに自社の活動を取り上げてもらうことは、数万円の求人広告やWeb広告を打つよりも遥かに高い投資対効果(ROI)を生む。結果として、企業の「経費(交際費や研修費)」として、プロジェクトチーム単位でのリピート来店が確定していった。
「大輔さん、最初は美容室のペルソナ戦略から始まった『情報優先』の考え方が、居酒屋を巻き込んで、街全体のビジネスを動かすハブになっちゃいましたね」 グラスを磨く大輔の横で、美容室のミサトがしみじみと言った。
「ああ。情報(ソリューション)を真ん中に置けば、業種なんて関係ないんだ。客が客を呼び、ビジネスがビジネスを生む。いよいよ次が最終話だ。僕たちが組み立ててきた『AI自動営業×紹介営業×リピート営業』の、本当のゴールを形にしよう」
小さなお店たちがデジタルと知恵で繋がり、価格競争の荒野から完全に抜け出した理想郷。24時間稼働し続ける、その「自動営業モデル」の全貌が、ついに明かされようとしていた。