文系DXスタジオ AMUのDXスタートアッププランは「業者に丸投げして、結局誰も使わなくなるシステム」を作るものではありません。 優秀なAI(Gemini)や使い慣れたWord、スマホで動くLINEを使い、 「自社で情報発信をコントロールする力」を身につけていただく伴走型インハウス支援モデルです。
「内製化がいいのは分かるけれど、本当に外注費を減らせるの?」 「専門知識がない社員がやって、質が落ちるのが怖い」
そんな不安を抱えていたある地方の小売業A社が、デザイン外注費を年間100万円削減し、さらに販促のスピードを3倍に高めた事例をご紹介します。彼らが取り組んだのは、特別なシステム導入ではなく、以下の「3つのステップ」でした。
1. 外注費の「聖域」を撤廃し、コストを可視化した
A社がまず行ったのは、過去1年間の「印刷物コスト」の徹底的な棚卸しです。
デザイン制作費(外注先への支払い)
修正費用(やり取りにかかる人件費)
印刷代(ネット印刷より高額な印刷会社への発注)
これらを合計したところ、年間で150万円近いコストがかかっていることが判明しました。特に、小さな修正に数千円〜数万円が上乗せされていた「隠れコスト」の大きさに経営陣は驚愕しました。
【ポイント】 「デザイン=職人技」として聖域化していた外注費を、「業務プロセスの一部」と捉え直し、削減目標(KPI)を数値化したことが、全社の意識改革のスタートとなりました。
2. 「Wordテンプレート」を資産化した
次にA社が取り組んだのは、全販促物をWordで統一するための「テンプレート化」です。
それまでは、担当者がその都度ゼロから作成していたため、デザインのバラつきが激しく、クオリティも安定しませんでした。そこで、デザイナーに依頼して「自社専用のチラシひな形(テンプレート)」を数パターン作成してもらいました。
ヘッダー・フッターの固定
自社カラーの指定
フォント・文字サイズのルール化
この「型」さえあれば、あとは中身(写真とテキスト)を入れ替えるだけです。これにより、デザイン未経験の事務スタッフでも、プロと同等のレイアウトを1時間以内に作成できるようになりました。
3. 「完璧主義」を捨てて、ネット印刷へ直行した
最も大きな変化は、制作プロセスの簡略化です。以前は「印刷会社に確認を取ってから印刷」していましたが、これを「Wordで作成し、PDFに変換して、ネット印刷へ即時入稿」というフローへ一本化しました。
A社は当初「プロの印刷会社に任せないと不安」という意識がありましたが、ネット印刷のクオリティを一度体験するとその不安は払拭されました。何より、「修正から入稿まで、デスクにいながら完結する」というスピード感が、現場のスタッフのモチベーションを劇的に向上させました。
削減シミュレーション:100万円のゆくえ
この切り替えにより、A社では年間約100万円のデザイン外注費を削減しました。しかし、A社の真の勝因は、その100万円を「利益として温存した」ことではなく、「別の販促活動(AI活用やSNS運用の内製化)への投資」に回したことにあります。
外注費の削減分: 年間100万円
得られた成果: 販促物の発行頻度が月1回から週1回へ増加。集客力と顧客エンゲージメントが向上。
まとめ:最初の一歩は「テンプレート」から
A社が成功したのは、いきなり全てを内製化したわけではなく、「デザイナーにWordの型を作ってもらう」という小さな投資から始めたからです。
「自分たちでデザインできるようになる」という目標は、最初は遠く見えるかもしれません。しかし、一つテンプレートが完成すれば、その後の制作コストは事実上ゼロになります。
次は、ネット印刷の選び方や、WordからPDFへ変換する際の注意点について、より技術的な側面から解説します。第5回では、ネット印刷を賢く使いこなし、クオリティを維持するための「データ作成術」に触れていきます。
第5回:安かろう悪かろうは過去の話。ネット印刷のクオリティを引き出すデータ作成術