文系DXスタジオ AMUのDXスタートアッププランは「業者に丸投げして、結局誰も使わなくなるシステム」を作るものではありません。 優秀なAI(Gemini)や使い慣れたWord、スマホで動くLINEを使い、 「自社で情報発信をコントロールする力」を身につけていただく伴走型インハウス支援モデルです。
第1章:気づき 1.
地方企業の経営者から、「MASAプランニングラボは何をしてくれる会社なのか?」と問われることがあります。
これまで多くの経営者は、販促物が必要になれば「印刷会社」へ依頼してきました。そこでは、正確な印刷、納期厳守、そして美しいレイアウトが提供されます。それはそれで、一つの完成されたビジネスモデルです。
しかし、もし貴社が「もっと自分たちの想いを届けたい」「一時的な広告ではなく、長く愛されるブランドを作りたい」と願うなら、印刷会社と「編集ラボ」という、全く異なる二つの立ち位置の違いを理解する必要があります。
本稿では、事業定義を再設定し、なぜ私たちが「印刷会社」ではなく「編集ラボ」として伴走するのか、その論理的な必然性を紐解きます。
1. 事業定義の再設定:「モノ」ではなく「意味」を届ける
印刷会社のビジネスは、基本的に「モノの複製」にあります。データを受け取り、それを紙というメディアに正確に定着させることが最大のミッションです。これは極めて重要な機能であり、地域社会のインフラでもあります。
一方で、「編集ラボ」が提供するのは「意味の翻訳」です。
「印刷会社」の限界と役割
印刷会社にパンフレット制作を依頼する際、私たちは「何を作るか」をすでに決めてから持ち込みます。サイズはA4、カラーは4色、紙質はマットコート。制作側は「ご要望通り」に仕上げるプロフェッショナルです。しかし、そもそも「そのパンフレットが誰のどんな課題を解決するのか」という戦略的な領域までは踏み込まない(あるいは踏み込めない)ことがほとんどです。
「編集ラボ」が担う領域
編集ラボの仕事は、印刷機を動かす前の「企画」から始まります。 「なぜこの事業を始めたのか?」「どんなお客様に喜んでほしいのか?」「この会社が地域に残すべき価値は何か?」といった、経営者の頭の中にある断片的な想いを言語化し、一貫したストーリーとして編み上げること。
つまり、印刷会社が「情報の容れ物(器)」を作るとすれば、編集ラボは「容れ物の中に入れる物語(コンテンツ)」を紡ぎ出す役割を担います。
2. 「スペック」競争から「ナラティブ」への転換
マーケティング理論において、現代は「スペック競争の末期」と言われています。どれほど高品質な商品を、どれほど美しいチラシで宣伝しても、競合もまた同じように高品質なものを作れば、価格競争に巻き込まれるだけです。
ここで求められるのが「ナラティブ(語り)」の力です。
なぜ「物語」が必要なのか
山口市のような地域経済において、お客様は商品を買うだけでなく、「その企業と関わること」を楽しんでいます。
「あの店主が作るからこそ、意味がある」
「この会社の創業ストーリーに共感するから、応援したい」
これらはスペックでは説明できません。編集ラボは、貴社の事業の中に埋もれている「物語」を発掘します。印刷会社が提供する「綺麗なチラシ」は物語の道具に過ぎませんが、編集ラボが提供する「ブランドストーリー」は、お客様をファンに変えるエンジンとなります。
3. 期待値の修正:丸投げから「協働」へ
ここまで読んで、「じゃあ、すべてお任せすれば勝手に物語を作ってくれるんだね」と思った方は、期待値を一度修正する必要があります。
編集ラボは、魔法使いではありません。「自分たちの言葉で語ること」を諦めた企業には、どんなに優れた編集者も魔法をかけることはできないからです。
編集ラボの伴走メソッド
印刷会社に丸投げするスタイルは「消費」ですが、編集ラボとの協働は「投資」です。
印刷会社への依頼: 「A案とB案、どちらがいいか選んでよ」と担当者に判断を委ねる。
編集ラボとの対話: 「自分たちは本当は何を伝えたいのか?」を編集者とのインタビューを通じて自問自答し、言葉を磨く。
このプロセスは経営者にとって、決して楽なことではありません。しかし、自分たちの事業の根底にある理念を言葉にする作業こそが、後のDX化やインハウス運用において、何よりも強固な基盤(ナレッジ)となるのです。
4. 印刷から「情報編集」への進化
印刷会社出身の私だからこそ言えることがあります。これからの地方企業に必要なのは、新しい設備への投資よりも、「情報編集力」への投資です。
Googleサイト、SNS、AIといったデジタルツールは、ただの「道具」に過ぎません。道具は進化し続けますが、その道具を使いこなして「何を語るか」という編集力がなければ、どんなに高度なDXも宝の持ち腐れです。
かつての成功法: 新聞折り込みで広く浅く告知する。
これからの成功法: 自社メディア(Webマガジン)に物語を蓄積し、検索とファンを通じて深く繋がる。
私たちが目指す「編集ラボ」という立ち位置は、まさに貴社自身が「編集長」として自社メディアを運営できるようになるまでの、最短かつ最強の伴走者です。
結びに:貴社にとっての「物語」とは何か?
モノを売るだけなら、大資本のプラットフォームには勝てません。しかし、物語を売るなら、山口の小さな専門店にしかできないことが無限にあります。
第1章の冒頭で、「Webサイトが更新されていない」という悩みを紹介しました。それは、Webサイトという「器」を作っただけで、そこに流し込むべき「物語」が準備できていなかったからです。
印刷会社にパンフレットを作ってもらう感覚を、「自社の物語を紡ぐための編集室」を持つ感覚へ切り替えてみてください。貴社の事業定義が「製造業」や「販売業」から「物語の発信拠点」へ変わる時、DXは単なるシステム導入ではなく、組織の文化そのものとして動き出します。
次回は、その物語をどうやって具体的に地域資源から引き出すか、「山口の埋もれた価値」を再発見する手法についてお話しします。
貴社の棚には、まだ言葉になっていない「素晴らしい物語」が眠っていませんか?