文系DXスタジオ AMUのDXスタートアッププランは「業者に丸投げして、結局誰も使わなくなるシステム」を作るものではありません。 優秀なAI(Gemini)や使い慣れたWord、スマホで動くLINEを使い、 「自社で情報発信をコントロールする力」を身につけていただく伴走型インハウス支援モデルです。
「とにかく挨拶回りに行け」「一件でも多く名刺を配れ」。 長年、日本の印刷業界の営業現場では、この言葉が金科玉条のように語られてきました。もちろん、人間関係を構築する上での「足を使った営業」には、今も変わらぬ重要性があります。
しかし、今の時代、「足だけで稼ぐ営業」には明確な限界が訪れています。
今回は、なぜ従来の営業スタイルが現場を疲弊させ、経営を圧迫しているのか。そして、その現状を打破するための「仕組み化」という解決策について深掘りしていきます。
「御用聞き営業」が直面している残酷な現実
多くの印刷営業マンが日々行っているのは、以下のようなルーチンではないでしょうか。
既存顧客への定期巡回: 「何か印刷物はありませんか?」と声をかけに回る。
相見積もりの対応: 顧客から提示された仕様に対し、少しでも安い価格で提示するために奔走する。
付加価値のない納品: 刷り上がったものを届け、次回の注文を乞う。
このスタイルが限界を迎えている最大の理由は、「価格競争」の罠から抜け出せないからです。顧客にとって印刷物は「どこに頼んでも似たようなものが出来上がる」コモディティ(日用品)化しています。結果として、営業マンは「少しでも安く」「少しでも早く」という顧客のプレッシャーに耐え続け、利益率を削り合う消耗戦を強いられることになります。
また、こうした「個人の人間力」に依存した営業は、担当者が変われば関係がリセットされるというリスクを抱えています。会社として蓄積されるべき「顧客理解」が、個人の頭の中だけに留まっているのです。
「疲弊」の原因は、売るものが「手段」だから
なぜ営業マンが疲弊するのか。それは、「目的」ではなく「手段」を売っているからです。
本来、顧客は「チラシが欲しい」のではなく、「売上を上げたい」「集客したい」という経営課題を持っています。印刷物はそのための手段の一つに過ぎません。
「印刷物という手段」しか売れない営業マンは、常に「安い印刷物」を探している顧客にしか刺さりません。一方で、顧客の課題を解決する「仕組み」を提供できる営業マンは、顧客にとって「代替不可能なパートナー」になります。
ここに、DXへの転換点が隠されています。
解決策:営業を「デジタル」で仕組み化する
営業現場を疲弊から救い出すのは、気合や根性ではありません。「営業プロセスのDX化(仕組み化)」です。
具体的には、以下の3つのステップで営業をアップデートします。
1. 属人化からの脱却(データの蓄積)
顧客との会話内容は、個人の記憶ではなく、Googleスプレッドシートなどのクラウド上に集約します。「いつ、どんな課題を抱えていたか」「どんなDXの提案に興味を示したか」をチームで共有するだけで、属人化した営業は「チームでの営業」に進化します。
2. 「診断」による提案の標準化
「何かありますか?」という御用聞きをやめ、「御社の集客を可視化する診断をさせてください」という提案に変えます。例えば、前回紹介した葬儀シミュレーターのような簡易的なツールを使い、「現状の課題を数字で確認しましょう」とアプローチするのです。これにより、営業マンの経験則に頼らず、論理的な提案が可能になります。
3. 受動から能動への転換
「印刷物の注文を待つ」のではなく、「デジタルツールを使って自動的に見込み客(リード)を獲得する」仕組みを作ります。例えば、地域店舗に向けた「自社で更新できるWeb集客の仕組み」を提供し、その保守管理を月額制(サブスク)で請け負う。こうなれば、営業マンは「注文をもらうために足を運ぶ」のではなく、「提供したシステムの価値を確認しに行く」という前向きな訪問ができるようになります。
「仕組み化」がもたらす余裕
営業を仕組み化することで、現場には「考える時間」が生まれます。
これまで相見積もりの価格調整に使っていた時間を、「このクライアントの課題をどう解決すれば喜ばれるか?」という企画の時間に充てる。そうすることで、印刷会社としての提案の質は格段に上がります。
結果として、価格競争からは完全に解放され、顧客からは「印刷もお願いできるし、デジタル周りの相談もできる頼もしいパートナー」として選ばれるようになるのです。
次回予告:武器を揃える
ここまでで、「なぜDXが必要なのか」「今の営業スタイルをどう変えるべきか」の全体像が見えてきたかと思います。
では、実際に何から始めればいいのでしょうか。次回は、高額な投資は一切不要、明日から無料で導入できる「Googleツールという最強の武器」について解説します。
「システム開発=数百万かかる」という固定観念を、一緒に捨て去りましょう。
【今回のポイント】
従来の「御用聞き営業」は価格競争に巻き込まれるだけで、現場は疲弊する。
「印刷物(手段)」を売るのではなく、「課題解決(目的)」を売ることで、代替不可能な存在になる。
営業プロセスのDX化は、データの蓄積とツールの活用で、誰にでも実践可能な「仕組み」にできる。
次回、「Googleツールという最強の武器」へ続きます。