文系DX AMUスタジオのDXスタートアッププランは「業者に丸投げして、結局誰も使わなくなるシステム」を作るものではありません。 優秀なAI(Gemini)や使い慣れたWord、スマホで動くLINEを使い、 「自社で情報発信をコントロールする力」を身につけていただく伴走型インハウス支援モデルです。
「Webサイトを作ろう」と思い立ったとき、多くの人が直面する最初の壁が「制作の複雑さ」です。デザインソフトの使い方を覚え、プログラミング言語に頭を悩ませ、高額な制作費を外注先に支払う――。これでは、旅館のスタッフが本来大切にすべき「おもてなし」の時間が削られてしまいます。
しかし、文系DXスタジオAMUが提唱する「インハウスDX」に、そんな専門知識は一切不要です。今回は、私たちが実践している「Word DTP」という技術を応用した、驚くほどシンプルかつ高速なWebサイト実装フローを公開します。
「使い慣れたツール」をWeb制作の武器にする
AMUが推奨するWeb制作の基本方針は、「新しいツールを覚えるな」というものです。なぜなら、旅館スタッフの皆様にとって最も馴染み深いツールは、既に業務で使っている「Microsoft Word」だからです。
私たちはWordを、文書作成ツールではなく「DTP(デスクトップパブリッシング)ツール」として活用します。
Webサイトのデザインをゼロから作ろうとすると迷走しますが、Wordであれば、写真の配置、文字のフォント、行間、色のバランスなどを、普段の提案書や館内案内を作るのと同じ感覚でレイアウトできます。この「Word DTP」の技術を応用することで、Webの専門スキルを持たないスタッフでも、非常に洗練されたレイアウトを作成することが可能になるのです。
AI翻訳・調整で、世界に届くコンテンツを生成
レイアウトが完成したら、次はコンテンツの中身をWebに合わせて最適化します。ここで活躍するのがAIです。
AIによる翻訳と調整: 記事2で壁打ちして磨き上げた物語を、ChatGPTなどのAIに入力します。単なる翻訳ではなく、「訪日外国人にとって魅力的に響く表現」に調整するよう指示を出します。
Web用のテキスト変換: Word上の長い文章を、Webで読みやすいように、箇条書きや短い段落に分割・要約させます。
視覚情報の最適化: Word上でLP(ランディングページ)として構成した画像を、そのままWeb用のパーツとして書き出します。
このプロセスの素晴らしい点は、「視覚的な構成(デザイン)」と「テキストの言語化」を分業できることです。デザインセンスに自信がなくても、Word上で画像と文字を美しく並べるだけで、AIがその中身を強力な「インバウンド対応コンテンツ」に変換してくれます。
プログラミング不要!Googleサイトへの超速流し込み
WordとAIで完成した素材は、最後に「Googleサイト」へと流し込みます。ここには、従来のWeb制作のような複雑なコーディングは一切不要です。
Googleサイトの最大の特徴は、ドラッグ&ドロップで操作できる「ブロック型構成」です。Wordでレイアウトした内容に合わせて、画像を配置し、テキストを貼り付ける。これだけで、PCでもスマホでも美しく表示されるレスポンシブデザインのページが完成します。
このフローにより、私たちがこれまで体験してきたような「制作開始から公開まで数ヶ月」という時間は、「素材さえあれば数時間」へと短縮されます。この圧倒的な制作スピード(アジリティ)こそが、インハウス運営の最大の武器です。
「インハウス運営ノウハウ」:誰でも更新できる安心感
この手法の最大の価値は、「誰が担当しても同じ品質が担保できる」という再現性にあります。
一度、Wordのテンプレートさえ作ってしまえば、新人スタッフであっても、そのテンプレートを流用して新しいプランの告知や、周辺の観光情報の記事を更新していくことができます。外部の制作会社に更新を依頼し、見積もりを取り、修正を待つというタイムラグはもう存在しません。お客様が旅館を訪れて「この料理、今が旬でおいしいね」と仰った翌日には、その感動を世界中の言葉で発信できるのです。
「専門スキルがなくても、自分たちの言葉で即座に発信できる」。この環境こそが、旅館経営におけるDXの理想形です。
まとめ:技術ではなく「仕組み」を整えよう
高価なデザインツールも、専門的なプログラミングも、インハウスDXには必要ありません。必要なのは、普段使っているWordを使い、AIというパートナーと共に、自分たちの物語をWebという空間に並べていく「仕組み」です。
まずは、館内案内やメニュー表を作る感覚で、Wordで1枚の「インバウンド向け紹介ページ」を作ってみてください。それをGoogleサイトに載せたとき、きっと「自分たちでもできる!」という手応えを感じていただけるはずです。
次回は、そうして構築したインバウンドサイトを、さらに多くの心に響くものにするための「感情のローカライズ」、つまり、日本の繊細な感性をいかに言語を超えて伝えていくか、その表現技術についてお話しします。